条文(日本語私訳)
第1602条 定義
本章において使用される用語の意義は、次のとおりとする。
(1) Agency(行政機関)
「行政機関」とは、合衆国法典第5編第551条第1号に定める意義を有するものをいう。
(2) Client(依頼者)
「依頼者」とは、自己または自己のためにロビー活動を行わせる目的で、金銭その他の対価をもって他人を雇用し、又は保持する個人または法人その他の団体をいう。
自己の従業者が自己のためにロビイストとして行為する場合、当該個人または団体は、依頼者であると同時に当該従業者の使用者でもある。
連合体または協会がロビー活動を行わせるために他人を雇用し又は保持する場合においては、依頼者は当該連合体または協会であり、その個々の構成員ではない。
(3) Covered executive branch official(対象行政府職員)
「対象行政府職員」とは、次の者をいう。
(A) 大統領
(B) 副大統領
(C) 大統領府(Executive Office of the President)において職務に従事する職員その他これに準ずる者
(D) 法律または大統領令により指定されたExecutive ScheduleのレベルIからVまでの地位にある職員
(E) 合衆国法典第37編第201条に定める給与等級O-7以上の制服組構成員
(F) 合衆国法典第5編第7511条(b)(2)(B)に掲げる、機密的、政策決定的、政策形成的、又は政策提言的性格を有する地位にある職員
(4) Covered legislative branch official(対象立法府職員)
「対象立法府職員」とは、次の者をいう。
(A) 連邦議会議員
(B) 両院のいずれかの選出職員
(C) 次に掲げる者の職員またはこれに準ずる者
(i) 連邦議会議員
(ii) 両院のいずれかの委員会
(iii) 下院又は上院の指導部スタッフ
(iv) 両院合同委員会
(v) 連邦議会議員に立法上の支援その他の援助を提供するために組織された作業部会又は議員連盟
(D) 合衆国法典第5編第13101条第13号に掲げる地位にあるその他の立法府職員
(5) Employee(従業者)
「従業者」とは、個人または団体の役員、職員、パートナー、取締役、又は事業主である個人をいう。ただし、次の者を含まない。
(A) 独立請負人
(B) 当該個人または団体から金銭その他の対価を受けない無償のボランティア
(6) Foreign entity(外国主体)
「外国主体」とは、1938年外国代理人登録法(22 U.S.C. §611(b))第1条(b)に定義される外国本人(foreign principal)をいう。
(7) Lobbying activities(ロビー活動)
「ロビー活動」とは、ロビー接触およびこれを支援する努力をいい、接触のために行われる準備・計画活動、調査その他の基礎的作業(当該作業が行われた時点において接触に用いられることを意図したもの)、ならびに他者のロビー活動との調整を含む。
(8) Lobbying contact(ロビー接触)
(A) 定義
「ロビー接触」とは、依頼者のために行われる、対象行政府職員または対象立法府職員に対する口頭または書面(電子通信を含む)によるあらゆる意思伝達であって、次に関するものをいう。
(i) 連邦立法の立案、修正又は採択(立法提案を含む)
(ii) 連邦規則、規制、大統領令その他合衆国政府の計画、政策又は立場の立案、修正又は採択
(iii) 連邦計画又は政策の執行又は実施(連邦契約、補助金、貸付、許可又は免許の交渉、付与又は管理を含む)
(iv) 上院の承認を要する地位に就く者の指名又は承認
(B) 除外
次に掲げる意思伝達は、「ロビー接触」に含まれない。
(i) 公務員がその公的資格において行うもの
(ii) 報道機関の代表者が、一般公衆に対する情報収集および伝達を目的として行うもの
(iii) 公衆に配布される演説、記事、出版物その他の資料、又は放送等によるもの
(iv) 外国政府又は外国政党のために行われ、外国代理人登録法に基づき開示されるもの
(v) 会合の要請、進捗状況の照会その他これに類する行政的要請であって、影響を及ぼす意図を含まないもの
(以下、各号の趣旨を逐語的に維持しつつ、同様に除外事由が列挙される。)
(vi) 合衆国法典第5編第10章の適用を受ける諮問委員会への参加の過程において行われるもの。
(vii) 連邦議会の委員会、分科会又は特別作業部会の前で行われる証言、又は当該委員会、分科会若しくは特別作業部会により実施される公聴会の公開記録に含めるために提出されるもの。
(viii) 対象行政府職員又は対象立法府職員から特定の情報を求める口頭又は書面による要請に応じて、書面により提供される情報。
(ix) 召喚状、民事調査要求、その他連邦議会若しくは行政機関の法律、規則又はその他の措置により義務付けられたもの(連邦契約、補助金、貸付、許可又は免許により義務付けられた意思伝達を含む)。
(x) Federal Register、Commerce Business Daily、又はこれに類する刊行物に掲載された公告に応じて行われるものであって、公衆からの意思伝達を求める当該公告において特に指定された行政機関職員に対してなされるもの。
(xi) 法により無断開示が禁止されている情報を開示することなくしては報告することが不可能なもの。
(xii) 次に関して、行政機関の職員に対して行われるもの。
(I) 司法手続、又は刑事若しくは民事の法執行に関する調査、捜査若しくは手続
(II) 法律又は規則により、政府が特に秘密裏に維持又は実施することを義務付けられている申請又は手続
ただし、当該行政機関が当該手続、調査、捜査又は申請について責任を有する場合に限る。
(xiii) 合衆国法典第5編第554条又はこれに実質的に類似する規定に基づき当該行政機関が実施する裁定手続に関し、書面化された行政機関の手続規則に従って行われるもの。
(xiv) 公開手続の過程において提出される書面による意見、又は公開手続において記録上行われるその他の意思伝達。
(xv) 確立された行政機関の手続に従い、公的記録とされることが要求される書面による行政措置請願。
(xvi) 特定の個人の給付、雇用又はその他当該個人のみに関わる個人的事項に関して、当該個人のために行われるもの。ただし、この号は、次に掲げる者との意思伝達には適用しない。
(I) 対象行政府職員
(II) 対象立法府職員(ただし、当該個人の選出議員又は当該議員の直接監督下で勤務する職員を除く)
であって、当該個人の救済のための私法的立法の立案、修正又は採択に関するもの。
(xvii) 1989年内部告発者保護法の改正、合衆国法典第5編第4章、又はその他の法律により保護される個人による開示。
(xviii) 次の者により行われるもの。
(I) 内国歳入法第26編第6033条(a)(2)(A)(i)に基づき連邦所得税申告書の提出を免除される教会、その付属組織、又は教会の連合若しくは協会
(II) 同条第6033条(a)(2)(A)(iii)に基づき連邦所得税申告書の提出を免除される宗教団体
(xix) 次の者の間で行われるもの。
(I) 証券取引法第3条(a)(26)に定義され、同法に基づき証券取引委員会に登録され又は同委員会により設立された自主規制機関、又は商品取引所法に基づき商品先物取引委員会に指定され若しくは登録されたこれに類する機関の職員
(II) それぞれ証券取引委員会又は商品先物取引委員会
であって、当該機関が同法の下で負う規制上の責任に関連するもの。
(9) Lobbying firm(ロビー会社)
「ロビー会社」とは、自己以外の依頼者のためにロビイストとして行為する1人以上の従業者を有する個人または団体をいう。自己雇用のロビイストも含む。
(10) Lobbyist(ロビイスト)
「ロビイスト」とは、依頼者により金銭その他の対価をもって雇用又は保持され、2回を超えるロビー接触を含む役務を提供する個人をいう。ただし、3か月間に当該依頼者に提供する役務のうちロビー活動が占める割合が20パーセント未満である者を除く。
(11) Media organization(報道機関)
一般公衆に対して新聞、雑誌、その他の出版物、放送その他の媒体を通じて情報を伝達する個人または団体をいう。
(12) Member of Congress(連邦議会議員)
上院議員、下院議員、又は議会における代表若しくは常駐代表をいう。
(13) Organization(団体)
個人以外の個人又は団体をいう。
(14) Person or entity(個人又は団体)
個人、法人、会社、財団、協会、労働団体、事務所、組合、合名会社、団体群、州又は地方政府を含む。
(15) Public official(公務員)
連邦、州又は地方政府の選出又は任命職員若しくは職員をいう(一定の除外列挙あり)。
(16) State(州)
各州、コロンビア特別区、並びに合衆国のコモンウェルス、準州及び属領をいう。
【コメント】本章の実質的射程を画定する最重要規定。「lobbying contact」「lobbying activities」「lobbyist」「covered official」の定義が登録義務(1603)と報告義務(1604)の適用範囲を決定する。特に除外事由の精緻な列挙は、請願権や報道の自由との衝突を回避するための憲法調整装置として機能する。定義の広狭が制度の実効性と過剰規制の境界を左右するため、本章の中核構造を成す条文である。